エロいシーンのある映画を観よう週間ではないのに、
「赤い影」に続いて観たDVD「体温」。

ラブドールものということで観たが、
エロいシーンがあった。

ピンクの小物で飾られたかわいい部屋に
横たわる女を起こして、服を着替えさせる倫太郎。
彼女をよく見ると、目は開いたままで
微動だにしない。

そう、彼女は人間ではなく、
「イブキ」と名付けたラブドール。

倫太郎は、彼女を車椅子に乗せ、散歩し、
ボウリングも一緒にし、ゲーセンで
二人でゲームし、プリクラも撮る。

倫太郎は イブキに絵本を読んで聞かせ、
「動物園の動物たちはいいよな。檻の中が全てで」と、いう。

倫太郎は二人だけの世界を願うのだろう。
そんな時、倫太郎は街で、イブキそっくりのキャパ嬢・
倫子に出逢い、惹かれていく・・・。

序盤は、長いシーンが続き、音楽もなく、
映画というより、のぞき見しているようなリアルさが漂う。
ドールを演じる女優さんが瞬きしないか、動かないかという
のが気になるくらいの長回し。

動かないドールに愛を注ぐ男は気持ち悪さより、
やさしい人なのだろうと思う。
人と関わることを恐れているような男だが、
ドールには自然体だ。

ドールとのからみもあり、より自然だが、
ドールの手を取り、自分の乳首にあてがうところは
なんか笑ってしまう。
ドールとする男はみんなこんなことしてるのだろうか。
レズビアンの人もこんなことするのかしらと思ったり。

ドールとしていたことを生身の女となどる男。
だけど、つかのまの肌のぬくもりも・・・。

ラストは、痛く悲しい。

倫太郎は絵描き。
ラストで、イブキの“亡骸”を車椅子に乗せ、
岡本太郎の壁画を見せに行く所はせつない。

キワモノ映画かと思ったら、センスのいいところが
随所にあり、小物とか小道具、キャラ設定の
細かい所にこだわっていて、深さを感じた。

映画「フィギュアなあなた」も、人間の男と
マネキン人形が愛し合うカタチの映画で、
グラビアアイドルが、
マネキン人形になりきっていた。
これは確信犯的エロさの映画らしい映画だったけど、
こちら「体温」の方は映画らしくない映画。

生身の人間と深く関わると傷つくことも多い。
だから、深く人と関わることを拒絶する人も多い。
淋しいことだけど、それもわかる気がする。
私は傷ついても、血を流しても(精神的に)
やっぱり“体温”を求めてしまうのだろうな。


★ラブドールに関してはこんな本。
“ダッチワイフ”世代とラブドール世代では、
感覚がまた違うのだろうなあ。
    ↓
■「南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで
  -特殊用途愛玩人形の戦後史」感想(2008.7.12)
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10115720915.html


★こちらも早くにドールと男がテーマの物語。
  ↓
■映画「ラースと、その彼女」感想。(2008.12.22)
2006年アカデミー賞オリジナル脚本ノミネート作品
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10183061154.html


★好きな漫画家 業田良家の漫画の映画化。
 こちらは人形が意志をもったら・・・という
 ファンタジー的なお話に。
  ↓
■映画「空気人形」感想(2009.12.7)
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10408336417.html